路上演奏と馬糞 | 自主見学

路上演奏と馬糞

都内某所、閉店後のデパートの前にてボンゴ (キューバの太鼓) を叩いてたら警備員に止められました。嫌だね警備員って。


わたくし、ここの番人でございます、ええ。


ってな顔して近づいてきて低い涼しげな声で一言。


「あ、ここで演奏しちゃ駄目だよー」

とね。


この場所は数年前、僕が初めて路上独奏した記念すべき地であり、まさに聖地。僕は食い下がりますよ。


僕 「え?!駄目なんですか?」 ←知ってるけど、白々しく尋ねる、これ常識。

警備員 (以下、ビイン) 「うん、駄目駄目。営業妨害になっちゃうからね」

僕 「でも、あれですよね、閉店してますよね」

ビイン (以下、ビン) 「うん、でも許可証がいるんだ」

僕 「お金目的で演奏してるわけじゃないですし、通行人から苦情が出たらすぐ止めますけど」

ビン 「あ、うん、それは分かってるんだけど、、、許可証がいるんだよぉ」


話にならない。しばらく穏やかに反論したりしていると警備員の眉間に数本皺が寄ってくる。皺は苦悩の表れか。僕が比較的堂々と、大きな声で、穏やかに、大人の態度で、冷静に話を進めるもので 「あ、こいつすげぇ鬱陶しい」と思い始めたに違いない。聖地を守るためなら鬱陶しくもなろうじゃないか。


 「数年前は毎晩ここで演奏してたんです」 なんて僕が言うもんで、勤めはじめて1、2年と思われる警備員の眉間に刻まれた皺が一層深まる。


我の声 灰色夜空と 深い皺


営業妨害って言いますけど、僕、この店の印象を向上しようと頑張ってるんですよ?あはは。


なんて僕が言うもんで、警備員の眉間と額には困惑気味のウネッタ皺が、小学生が彫刻刀で大雑把に彫ったかのような皺が、それはもうクッキリと。僕は 「これ以上話しても、彼を困らせるだけだし、なにより僕が演奏を続けられる可能性は薄い」 と判断し、彼に通常の職務 (すなわちパトロールと称した散歩) に戻してあげようかしらね、と思ったのです。思ったことは実行に移す。実行っても、あれだ、ただ 「はいわかりました」 っつってその場を立ち去ったってこと。



年々厳しくなっていく東京路上演奏。路上音楽人が向かうべきは、どのエリアだ。


そうだ、無人島に行こう。ビート板を貸してくれれば、僕はバタ足で無人島に行くよ。買ってまでは行きたくない。それが乙女心。乙女座の男心。


嗚呼。梅雨のニオイが部屋に入ってくる。そして何故か馬糞のニオイ。すいませーん!臭いんですけど!

路上演奏場所は狭まってくるし、馬糞のニオイは迫ってくるし、都会に利点を見つけるのが難しい昨今、みなさん、お元気ですか。